逮捕されたとしても、検察官がその後に続く勾留を請求をしないとき、又は勾留請求をしたものの、それが認められなかった場合には、逮捕されたとしても釈放されることになります。
このような場合には、勾留によって身柄を拘束されることなく捜査が進められ(このような事件は在宅事件をいいます)、警察や検察から出頭を求められ、取調べを受けます。
窃盗、痴漢、盗撮などの犯罪であり、家族や定職があるなどの事情により逃亡や証拠隠滅の可能性が高くない事案は、在宅事件になりやすい傾向があります。
検察官が勾留請求をしたものの、それが認められなかった場合には、被疑者勾留の請求がされた場合でも、釈放されることはあります。
また、勾留されていたものの、その後の事情の変化により勾留が取り消されることがあり、この場合も釈放されることにあります。
勾留請求がされたものの、それが認められない場合とは、⑴そもそも、裁判官が勾留請求を認めない場合、⑵裁判官が勾留請求を認めたものの、弁護人による不服申立(勾留決定に対する準抗告といいます。)が認められて、遡って勾留請求が認められなかった場合、があります。
ちなみに、保釈は、被告人段階で認められている制度であって、被疑者段階では認められていません。
被疑者の勾留決定に対する準抗告とは、「勾留の要件を満たさないのに勾留決定が出されている。」と主張し、勾留決定の取消しを求めることです(刑訴法429条1項2号)。
すなわち、勾留の要件は、被疑者が「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」がある場合で、かつ、次の各号のいずれかに該当(① 被疑者が定まった住居を有しないとき。② 被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。③ 被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。)ことです(刑訴法207条1項、同60条1項)。
したがって、勾留決定に対する準抗告とは、上記要件が充足しないことを理由に、勾留決定の取消しを求めることです。
勾留決定の取消しとは、勾留決定されたとしても、その後に、勾留の理由または勾留の必要がなくなったこと理由に、勾留の取り消しを求めることを言います(刑訴法87条)。
なお、勾留に対する準抗告は、一つの勾留に対して1回しか認められないのに対し、勾留請求は事情の変更があれば何度でも行うことができます。