国選弁護・私選弁護QA

Q 国選弁護人とは?

 国選弁護人とは、被疑者や被告人が貧困などの理由で私選弁護人を選任することができない場合に、国が選任しその費用を負担して付される弁護人のことをいいます。

 国選弁護人は、国が名簿の中から機械的に選任するため、被疑者や被告人自らが、弁護人を選ぶことはできません。

 また、被疑者及び被告人が、おおむね50万円以上の経済力を有している場合には、原則として国選弁護人を選任することはできません。

 なお、権限および職務については、私選弁護人と国選弁護人との間に違いはありません。


Q 国選弁護制度の種類や費用を教えてください。

 起訴前の被疑者国選弁護制度と起訴後の被告人国選弁護制度の二種類があります。

 被疑者国選制度の費用は、すべての事件が無料と決定しているわけではありません。すなわち、被疑者の責めに帰すべき事由により生じた費用があるときは、被疑者にこれを負担させることができます(刑事訴訟法181条4項)。しかし、このように、有料になるケースは超例外的です。

 以上に対して、被告人国選の費用は、裁判所は、判決を言い渡す時に、被告人に訴訟費用を負担させることがあります。 しかし、裁判所が、 被告人に費用の負担をさせない、という判断をすることがほとんどだと思います。


Q 被疑者国選弁護制度とは?

 被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官が、その請求により、被疑者のため弁護人を付す制度のことです(刑事訴訟法37条の2)。

 したがって、逮捕により警察署に留置されている(が、いまだ勾留決定されていない)被疑者は、被疑者国選制度の対象になりません。ただし、当番弁護士制度によって、1回に限り、無料で弁護士による接見が可能です。

 以上に対して、被疑者段階の在宅事件(逮捕又は勾留によって身体拘束されることなく捜査が進められる事件のこと)は、国選弁護人の制度はありませんので、在宅事件こそ私選弁護人が必要といえます。


Q 当番弁護士制度とは?

 当番弁護士制度とは、刑事事件で逮捕された被疑者に対して、勾留前の段階であっても、日本弁護士連合会によって用意されている制度である。

 逮捕された人が警察などの捜査当局を通じて、または家族等などが所管の弁護士会へ依頼することによって、当番弁護士による初回の接見を無料で受けることができ、防御の手段等のアドバイスや法律相談を受けたり、その機会に私選弁護の依頼を行うことができる。


Q 被告人国選弁護制度とは?

 被告人は、貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときは、裁判所に対し、国選弁護人の選任の請求をすることができます(刑事訴訟法36条)。ただし、必要的弁護事件か任意的弁護事件かによって、手続きが異なります。


Q 必要的弁護事件とは?

 必要的弁護事件は、弁護人がいなければ開廷することができません(刑事訴訟法289条1項、316条の29、350条の9)。

 そのような必要的弁護事件とは、以下の⑴~⑶に該当する事件のことです。

⑴以下のいずれかの法定刑を含む事件

①死刑

②無期懲役・無期禁錮

③長期(上限側)3年を超える懲役・禁錮

⑵公判前整理手続または期日間整理手続に付された事件

⑶即決裁判手続による事件


Q 任意的弁護事件とは?

 任意的弁護事件とは、必要的弁護事件以外の事件のことをいいます。

 被告人が、任意的弁護事件について国選弁護人の選任を請求するためには、資力申告書(自己の現金、預金等の資産を申告する書面)を提出しなければならず、資力が50万円に満たないときは、そのまま選任請求が認められる。

 これに対して、資力が50万円以上の場合には、被告人は、所管の弁護士会に対して私選弁護人選任申出の手続をしたうえで、弁護人となろうとする者がいないときや、弁護士会が紹介した弁護士が被告人の私選弁護人の受任を断ったときは、被告人は国選弁護人の選任請求ができることになります(同法36条の3、31条の2)。


Q 私選弁護とは、?

 私選弁護とは、ご本人(被疑者や被告人とされている方)やご家族等が、弁護士と刑事弁護に関する委任契約を締結し、弁護士費用を支払って行う弁護になります。なお、私選弁護契約によって弁護を行う弁護士のことを私選弁護人といいます。。

 私選弁護の場合、依頼する弁護士を自由に選択することができ、また、弁護士費用など、弁護士との契約で決めることになります。